強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「このブーケ。可愛くないですか?」
「ああ本当だ。もしかして、ユリ?」
百合香が手にしている雑誌は結婚情報誌。
2人はごく近しい親族と親しい友人を招いて挙式だけをあげようと計画していた。
それが百合香の誕生月である2カ月後に迫っていた。
百合香が智に見せている記事はウエディングブーケのページだった。
「はい!私自分の名前でもあるユリが好きで」
「へぇ」
「7月の誕生花にもユリがあるんですよ」
「じゃあもしかして···」
「はい、私の名前は誕生花からつけたと聞きました!」
智は花の知識なんかない為、そうなのか。とただ聞いていた。
だけど百合香があまりに楽しそうに話をするから、それだけで智も嬉しくなってしまう。
「百合香の誕生日に、百合香の誕生花のユリで式するの?」
「···クドイですか···」
ちょっと俯き、上目遣いで見られたその目は少し潤んでいる。
ユリのように清楚で、無垢。清純なイメージを抱かせる百合香。
智は優しく笑顔を向けて前髪にキスをするとじっと見つめて言った。
「いや。百合香って名前は、君にぴったりだ」