強引な次期社長の熱烈プロポーズ
夫婦になってもそんな口説き文句のようなことを言う。
だけど百合香はその言葉ひとつひとつに顔を紅くさせる。
智は百合香の反応が面白くて、可愛くて。
ゆっくりと同じ高さに視線を合わせて近づき、背中に手を添えて百合香を押し倒した時だった。


ＲＲＲＲＲＲ


どこからか鳴り響く携帯電話。
縛らく同じ体勢のまま百合香と智は目を合わせていたが、全く鳴り止まない電話に観念したようで、智が百合香から離れて手を引き起こしてあげた。


「誰？」
「えっ···椿」


智に言われて確認すると、まだ電話は鳴っていて、ディスプレイには【　椿　】と表示されていた。


「もしもし？椿？」
『あ、姉ちゃん。オレ！』
「うん、わかってるよ。どうしたの？珍しいね、電話なんて···」


元より椿とはメールをたまに交わす位で、電話なんて滅多にすることはなかった。
そんな椿からの連絡となると、両親に何かあったのでは····なんて悪い想像をしてしまう。
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