強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「珍しい誘いだから百合香がかなり気にしていたよ」
「あー…大丈夫でした？」
「まぁ。多分ね」


椿の友人が働いているという店はバーのような店で、居酒屋とはまた違った雰囲気だった。
おそらく椿が落ち着いて何かを相談したいから、少し静かな雰囲気のこの店をセレクトしたのだろう。

2人はカウンターに並んで座り、背中を丸めるように肘をつく。
カウンターにはビールが運ばれていたがそれに口をつけずに未だ話を続けている。


「義兄さん、式もうちょっとですね」
「ああ。順序が滅茶苦茶だから椿くんには怒られそうだけどね」
「…そうやってまた過去のことを」
「いや、ほんとに。男として申し訳ないよ。君の大事な姉さんなのにってね」


ちょっと緊張した雰囲気をほぐすように智が冗談を交えて話をすると、椿もその効果あってか少し表情が柔らかくなる。