強引な次期社長の熱烈プロポーズ
やっとビールも半分飲み進めた頃に智が本題に入る。


「で?」
「・・・・いや、その」


なんでも言いたいことを言う筈の椿がまた珍しく歯切れが悪いので智も段々と真剣になってくる。


「百合香がいない時に話を――って結構深刻じゃないのか?」
「・・・深刻・・か、どうかは・・・」
「じゃあ当てようか」
「えっ!!!」


頬杖をついて少し口角を上げ意地悪い笑みで椿を見据えると、智はそう言った。


「わ、わかるんですか?」
「いや?」
「ちょっ…からかわないでください!!」
「嘘。ちょっとは思い当たることがある」


智の言葉は嘘でもハッタリでもない。
椿はそれがわかって覚悟して一呼吸ついた。

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