強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「彼女が・・・最近結婚願望強くなったみたいで」

ジョッキをゴトリと音を立て、テーブルに戻して椿は言った。


「いや、正確には元々あるのは知ってたんですけど…最近ストレートに言われてしまって」
「なんて？」
「『私と結婚する気あるの。それはいつなの』って」


どうやら椿は今の彼女と一緒にいることで満足していたようで、溺愛していた姉が結婚した今、その彼女は今がそのタイミングだといった感じで椿に打ち明けてきたらしい。


「成程ね。それで？椿くんはなんて答えたの？」
「・・・オレすぐ答えらんなくて。それからギクシャクしたままです」


項垂れて告白する椿を見て智は黙っていた。
椿は人のことになると言いたいことも言えて、意志もハッキリとしているのに自分のこととなると・・特に色恋沙汰には弱気になるらしい。