強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「それで、百合香じゃなくて男の俺に話をしたかったのか」
「姉ちゃんにそんな話したもんなら···」
「まぁ、彼女の味方につくだろうね」
「中立な立場から話聞きたかったんですよ。義兄さんそういうの適任でしょう」


そう言われたらそうだろう。
基本、智はいつでも冷静沈着。それは仕事でもプライベートでもそうだ。
ただひとつ条件を付け加えるのなら“百合香に関すること以外”だ。

今回は全くの部外者ということから椿の求めている“中立的意見”が聞けるだろう。


「うーん···俺だったら」


智が宙を見て話し始める。
椿は縋るような視線を向けて耳を傾けていた。


「まず彼女を離さない、かな」
「?」
「ギクシャクしてる関係を少しでも早く改善する」


椿は相変わらず黙って食い入るような視線を智に向けたままだ。


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