強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「それは“彼女が大切だ”と思っていることが大前提だけどね」
「それは勿論···!」
「じゃあ何が君を足止めさせてるの?」


智の核心をついた質問に椿は冷静に考える。
色々取っ払って考えて。彼女は今まで支えてくれたし今もこの先も大切だ。
じゃあなぜ?


「―――自信がなくて」


自分が早くに出世する自信も、家庭を持つという自信も、彼女を幸せにする自信も···

あまりに突然のことだったから。

だけどだからって何の準備も出来ていないと言っていいものなのか――


「だったら、彼女にそう言ったら」
「そんな!こんなこと言えば···」
「別れを切り出されるかもしれない、ね」


カウンター越しに飾られてある花に目をやって智が言った。


< 545 / 610 >

この作品をシェア

pagetop