強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「最近ちょっと、うまくいってないと言うか…すれ違ってるだけなのかもしれないんですけど。恥ずかしいお話です」
「へぇ···」
「男の人って、“結婚”て言葉は敬遠しちゃうものでしょうか」
「···人それぞれだと思うけど」


温かいコーヒーも残り半分になると、徐々に缶が冷たくなっていき、その最後の温もりを逃がさないように涼香は両手でしっかりと握りしめる。


「そう、ですよね」
「まぁ椿くんは、敬遠とかってタイプじゃないかな」
「――どうしてそう思うんですか?」


智は一口コーヒーを口に含んで自分の足に肘をつくようにして前傾姿勢になり真っ直ぐ前を見て言った。


「あのバットの振り方見てたら、ピッチャーになれば直球勝負する性格だろ」


智はさっきの椿の豪快な三振、ゴロを思い出してそう涼香に説明した。
< 555 / 610 >

この作品をシェア

pagetop