強引な次期社長の熱烈プロポーズ


(あれぇ··私また宙に浮いてる···たまにあるんだよね、この感覚)


百合香が夢の中でそんな考えを抱いていると、自分の好きな、落ち着く香りがすることにも気が付いて薄らと目を開けてみた。


「···ん··?」

「―――4回目。」


その声に一瞬で目が覚めた。
目の前には最愛の夫の顔がある。


「さっ智さんっ??」


自分が宙に浮いているのは彼の腕の中にいるからで、きょろきょろとあたりを見回すと既に自宅についていることにも気付いた。


「ちょうど今ついたとこ」
「あ···ご、ごめんなさい」


百合香は智に抱えられている為逃げ場がなく、俯いて小さな声で謝った。


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