強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「今日は、贈り物で。祖母に…喜寿のお祝いなんです」


そういいながら再びショーケースに視線を落とすその子はとても楽しそうに、ひとつひとつの商品を見ているように思えた。


「お祖母さんに・・・どんな万年筆のイメージですか?色は?形は?」
「えぇと・・やっぱり女性らしい色かな?柔らかい感じが好きです。あ、あと、恥ずかしいんですけど・・・」


その子は急に流暢に希望のイメージを語りだしたかと思えば、段々とまた小声で体を小さくし始めたので不思議な子だなぁと興味を持った。


「なんでしょう?」
「あの、予算が・・・少ししかなくて」
「ちなみにどの位ですか?」
「1万5千円程度だと助かります・・・」


学生で祖母への贈り物で、1万5千円。しかも品物は万年筆。
なかなかいないだろう。そんな孫は。


「充分選べると思いますよ。人それぞれですが、高ければ万人にとっていいペンとは限らない。」


俺が本心でそう伝えたら、その子はまたぱぁっと明るい笑顔を俺に向けた。
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