強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「やっぱり、一面雪だね。新幹線で正解だ」
「そうですよね。雪道って慣れてないと。オレは免許とった時は冬だったんで。それからもそれなりに」
「雪国で生活するようになったら慣れるまで大変そうだ」
「え?こっちにくることあるんですか?」
「いや、予定があるわけじゃないよ。でも百合香の故郷だから」


何気なくしている会話の端端に、自分のことを考えてくれているようなことを感じさせるから敵わない。

それを自然にやってるのだから。

百合香の仲間外れ的な“ご機嫌斜め”はこういうことですぐに元に戻る。


そうこうしている間に百合香の実家に到着した。

少しだけ人里離れたところに構えた家は、大きな黒っぽい三角屋根で、雪がまた映える。

玄関かと思われる個所が二つあることに気が付き智が車の中で百合香に問う。


「―――百合香の実家って···」
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