強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「あ、言ってませんでしたっけ。母が自宅の一部をカフェにしているんです」


向かって左の入り口には小さな黒板があり、オススメや、コーヒーセットの説明書きが記載されている。

オシャレな街灯が、カフェらしさを演出している。
きっと今は冬だが春になればこの入口付近を花や木で綺麗に着飾るのであろう。

そして車を降りた椿は百合香の荷物を持ち、向かって右側にある至って普通の自宅玄関の前に立って声を掛ける。


「義兄さん、姉ちゃん、寒いから中入ろう」


そう言われて視線はカフェ入口に送りつつ、智は百合香と一緒に椿の待つ玄関へと向かって行った。


「だから、少し離れて景色がいいところに家を構えたのかな」
「多分。あ、でもどうでしょうか··カフェ始める為に家を建てたのか、建ててから思い付きで母が始めたのかはわかんないですけど」


そんな会話をしつつ玄関に入るとその噂の母が出迎えに来てくれていた。

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