強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「遠くまで御苦労さま。いらっしゃい・・・ああ。“お帰りなさい”の方が正しいかしら」


口に手を添えて嬉しそうに笑いながらそういう母は、百合香に似ている雰囲気があった。
親子なのだから当然なのだが。

智はそんな百合香の母を見て自然と笑顔が零れるのだった。


「お久しぶりです。お世話になります」
「大したこともできないのよ。そんなかしこまらないで。さあどうぞ」


挨拶を交わして靴を脱ぎ家へと上がる。

すぐ正面の扉がリビングで、全員がまずはそこに入り一息ついた。


「カフェを経営されてるんですね。知りませんでした」
「経営だなんて。そんな大層なものじゃないのよ。私は昔料理の学校に通っていたから・・こういうのが好きなのよ」
「あとであちらにお伺いしてみても？」
「勿論、歓迎するわ！明日からお休みするから丁度よかった！」


リビングのソファに座っている百合香と智の前に温かい紅茶が注がれる。
椿は横にある食卓テーブルの椅子に腰を掛けてテレビを見ていた。
どうやらそこが椿の“定位置”らしい。

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