強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「智くんは、スキーはやったことあるかい?」


テレビに映っていたのがスキー場で、それを見て父は智に聞いたのだった。
4人がテレビに目を向けて、智がそのまま答えた。


「いや・・記憶にないから・・・やったことはないですね」


そう答えた智に父が閃いたように提案する。


「明日、百合香と滑ってきたらどうだい?天気も悪くない筈だし、そうしたらいい!きっと楽しいぞ!」
「えっ・・お父さん!そんな強引に・・ウェアだって」
「椿のがあるだろう?百合香のもそのまま部屋にあるってこの前母さんが片付けしているときに言っていたぞ」
「だ、だけど」


百合香は特に苦手な訳ではなく、むしろ幼少期から家族でもスキー場に行っていた位なので困ることはないのだが、智の反応が気になる。

こういう話はしたことがないが、思い出してみたら今まで特にスポーツを一緒にするということはしたことがなかった。

百合香にとって、新しい一面の智が見れるかも。というのはあるが、それよりもまず、智の意思が一番だと思ってちらりと智を仰ぎ見た。


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