強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「・・・百合香は、行きたい?」
「え?えぇと・・・はい」
「じゃあ明日案内してくれる?」
にっこりと優しい笑顔を百合香だけに向けて智はそう言った。
父も椿もそんな2人の甘い雰囲気に少し照れて視線を逸らす。
少し間が開いたところで椿が口を挟んだ。
「じゃあ明日、オレが送迎してあげるから。気にせずごゆっくり」
「いいの?椿」
「姉ちゃんの運転も危ないだろ。案外智さんの方が運転もスキーも上手かったりして」
「す、スキーは負けないもん!」
悔しくてただ椿に言い返しただけなのだが、内容が“智には負けない”というようなニュアンスになってしまったことに気付いた百合香は恐る恐る智に視線を戻した。
「それは楽しみだ。勿論俺にレクチャーしてくれるんだよね?」
全く自信がないわけではないが、智の前でいつものように滑れるか自信がなくなっていく百合香だった。