強引な次期社長の熱烈プロポーズ


「···すごい!」


リフトを利用して滑る斜面は初級者コース。

それでも初心者が思うままに滑ることは困難だろう。
しかし智は持ち前の運動神経から、見る見るうちに百合香の教えを習得してそれなりに滑走できるようになっていた。


「ああ、結構楽しいかも」


もう斜面でバランスを崩して転ぶこともなくなった智は少し上にいる百合香に優しく笑ってそう言った。


「良かった。楽しいって言ってくれて」
「··数時間前までは楽しくなかったけど」


あの2人で転んだことが大分昔のように感じられて2人はまた笑ったのだった。


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