強引な次期社長の熱烈プロポーズ
(あれ?智さんどこかな…)


雪がちらちらと降り始め、人が増えてきたゲレンデで、少し目を離した隙に百合香は智を見失った。
必死で黒いウェアの人物を手当たり次第視線を送る。

その時肩にポンと手が置かれた。


「智さん!」


そう言って振り向くと百合香の肩に置いている手の主は智のものではなかった。


「···え?」
「君、上手いね!一人でしょ?地元?一緒に滑らない?」
「え、いや··私は」
「2人で並んで滑るのもまた楽しいよ!なかなか上手い人いなくて!君となら並んでいけそうだし」


百合香の言葉はお構いなしでその男はリフトの列へと促そうとする。



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