強引な次期社長の熱烈プロポーズ

「もしかして君、おれより上手いかも!だったら少し教えてよ!上級コースでさ」

「―――先約があるから」


百合香の手を取ろうとした男の手を抑えてそういったのは智だった。


「あ、そ、そう··」


やはりゴーグルをつけて顔が見えなくても長身の智が低い声でそういうだけで大抵の若者は怯んでその場を去る。

百合香が智を見上げてホッとすると、智がゴーグルを頭にずらして顔を覗かせた。


「―――どうして、百合香はいつもっ」


智は少し怒り気味で百合香に言った。
百合香は肩を竦め、小さな声で謝った。


「ご、ごめんなさい··」
「滑るのはあんなにキレがいいのに、ああいう時にはそれを発揮しないんだから―――っ!!」




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