強引な次期社長の熱烈プロポーズ

ウェアのすれる音が聞こえたと思ったら、自分の背中に智の手が回ってこの上ない程密着していた。


「さっ・・智さん、ここ、外!」


パニックになる百合香に智は軽くキスをした。


「!!!!!!!」


もう百合香は声にならずにただ顔を真っ赤にして智を大きな目でみるだけだった。


「あれ」


智が指をさす方を百合香は見た。


「みんな、あれに夢中だったから。きっと俺達なんて気付いて無いと思って。それにこの雪で隠してくれてそうで」


そこに集まる人だかりは空から次々と降ってくる雪のなか、年越しそばの無料配布の会場だった。

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