強引な次期社長の熱烈プロポーズ
「毎日作ってくれて感謝してるよ」

にっこり照れもせずそういう江川が素敵で、そんな風に愛し愛されている奥さんも素敵な人なんだろうと思った。

「仲がいいんですね」
「うん。悪くはないかな」

笑いながら江川お弁当に箸をつけはじめた。

「神野さんは、確か一人暮らし？」
「あ、はい」
「お昼は外食が多いの？」
「いえ…大抵はお弁当作りますけど…」


（今日は朝帰りだったから…なんて言えない。）


「えらいね。自分で作るなんて。」
「江川さんの奥さんみたいなお弁当じゃないですけどね」
「専業主婦してるからじゃないかな」
「きっとそんなことないですよ」


（柳瀬さんと同じ上司なのになぜかこんなにも自然に会話が出来ると思うとやっぱり江川さんてすごい。）


「そういえば、今日もきてたねあのお客さん」
「あのお客さん？」
「柳瀬のさ」
「ああ、速水さんですか」

お店の玄関は共通で１階にしかないから江川も気がついていたようだ。

「柳瀬、モテるねぇ」

からかい半分で江川は言った。
百合香は複雑な心境で、そうですね。と相槌を打つことしか出来なかったのだった。

< 77 / 610 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop