強引な次期社長の熱烈プロポーズ



百合香が休憩から戻ると、柳瀬の姿が見えないことにほっとした。
そして坂谷にまた何か言われては面倒だと、精いっぱいの笑顔で声を掛ける。

「戻りましたー」
「はい、おかえりー」

遅い休憩のいいところは閉店時間までが短く感じること。
百合香はさっきの話を払拭するかのように黙々と発注書を書き続けた。









そして無事閉店となると、いつものように夕礼が行われ、一斉に事務所へ上がる。

極力午後は柳瀬を避ける様に動いた百合香はエレベーターも別々になったことにほっとして溜め息をひとつついた。


「百合香!」
「桜井さん!」

その溜め息のあとに声を掛けてきたのは昨日、柳瀬と二人きりにした張本人の綾だった。


「なに?溜め息。仕事のこと?」
「んー…」
「それは仕事じゃないな」
「…」


百合香は話せと急かす綾にロッカー室で大体の経緯を話した。

< 79 / 610 >

この作品をシェア

pagetop