強引な次期社長の熱烈プロポーズ
百合香は涙を堪えて必死に、落ち着け、と自分に言い聞かせた。

それでもまだ何度か物音のするベランダの方が気になってどうにも出来ない。

そして、百合香は枕元にいつも置いてある携帯を思い出した。
手探りで携帯を手に取ると、画面を開いて考える。


(誰に…?
友達は、近くにいない。
桜井さんはうちを知らない。)



そして、ボタンを押した相手は―――――



『もしもし?』
「…けて」
『何?』
「たすけてっ…」



百合香の緊張の糸がぷつりと切れて、今まで堪えていた涙が溢れる。


『落ち着け。なにがあった?』
「べ、ベランダから…音がっ…」
『家にいるんだな?』
「うっうっ…は、はぃ…」



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