強引な次期社長の熱烈プロポーズ

『すぐにいくから。』


そう一言言われると、電話が切れた。



ピンポーン

数十分後に聞こえたインターホンの音。
それで初めて百合香は布団から出て、鍵をあける。


「大丈夫かっ…」

柳瀬の言葉を聞き終える前に百合香は柳瀬に抱きついた。


「こ、怖かっ…」
「まだ、音はするのか？」


コクリと涙を流しながら百合香が頷くのをみて、大丈夫。と軽く頭を撫でられリビングに避難させた。


シャーッ！


柳瀬が勢いよくカーテンを開ける。
すると、柳瀬からも百合香からもベランダ越しにはなんの姿も捉えられなかった。


「誰も、いない…？」


百合香が訳がわからない、と言う感じで声を漏らした。