強引な次期社長の熱烈プロポーズ
＊


「すっすみません！驚かせて！」
「いえ…こちらこそ。」


玄関には百合香と柳瀬。そして隣の住人。

単身者が多く住むこのアパートではあまり他の住人と面識がなく、まさか隣で猫を飼っているなんて思いもしてなかった。


「本当にすみませんでした。たまに居なくなったりはしてたんですが、今回はずっと戻ってこなくて…このアパートペット不可だから近隣の方に相談も出来ず…」
「はあ…」
「本当に申し訳ありませんでした！」


深々とお辞儀をしてさっきの白い猫を抱き抱えると逃げるようにしてその住人は家へ戻って行った。


そして、少しの沈黙が続いたまま、二人はその場に立っていた。

「あの…本当にお騒がせしてすみませんでした…」

百合香が力なく口を開いた。


（あんなに騒いでおいて、蓋を開けばはい猫でした。じゃ済まないよね。
きっと呆れてる・・・）


百合香はまともに柳瀬の顔を見ることが出来なかった。

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