SAKURA SAKU
『そんな急がなくたって、大丈夫だって。』
そんなやり取りを繰り返していると、渡り廊下まで来た。
渡り廊下からはちょうど桜の木が見える。
今は4月だから、満開だ。
ん…――?
桜の木の下に人がいる。
桜を見上げてる。
染めたというよりは、地毛っぽい、明るい茶髪。
その髪は腰まであって、サラサラのストレート。
色白で、スラッと伸びている手足。
身長は高いとは言えないけど、スタイルがいい。
桜を見上げているその顔は、目鼻立ちがハッキリしていて、端整な顔。
でも、表情はどこか哀しそうで、儚かった。