キミの隣り



「咲妃も最後は真面目なんだな」


バカにしたような笑顔で私を見てくるキミ


後、何回その笑顔を見せてくれる?



「なにそれ。
私も最後ぐらいはちゃんとするもん!
そう言う悠も真面目に挨拶してたじゃん」


「俺はいつも真面目に挨拶してるから」


「嘘つき」


「嘘じゃねーよ」


「ま、どーでもいいけどねっ」


「はー 本当に可愛いくない奴」


「可愛くなくていーもん」


「そんなんじゃ一生、彼氏出来ねーぞ」


「そんなことないもん!」


「どーだか」


「ふんだ。大学行ったら超ーカッコいい彼氏作って悠に紹介してやるわよ!」


「楽しみにしてます」



言いたいことを言い合って顔を見合わて


笑った




こんな言い合いが出来るのも




言い合った後




必ず顔を見合わて笑うのも






もう少し






そう考えただけで



何でこんなにも






涙が溢れそうになるんだろう






「おーい、咲妃?」



後、何回キミに名前を呼んでもらえる?



「なーに?」


「何かあったらいつでも頼れよ」


「え?」


「今にも泣きそう」


「気のせいだよ」


「だといーけど」



後、何回こうやって心配してくれる?



「ありがとうね」


「咲妃が素直とか珍しい」


「私だって素直な時もあるもん!」


「そっか」



後、何回その優しさをくれる?







後、何回…








キミとこうやって笑い合えるのかな?









このまま時間が止まってくれたら







私はどれだけ幸せだろ









小さい頃は





大人になりたくて





時間が早く進めばいいのにと





思っていたけれど



今は





子供のころに戻りたいと





思ってしまう





恋をするだけで




こんなにも



自分が変わってしまうのかと思う






私は少しでも





大人になれたのだろうか?






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