キミの隣り
「いってきます」
「いってらっしゃい
式始まる前には着くように行くからね」
「わかった」
お母さんに背を向け外に出ようとしたとき
「咲妃」
不意に名前を呼ばれ
「ん?」
振り返ってみるとそこにはいつも以上に
優しい笑顔をしたお母さんがいた
不思議に思って首を傾げると
「高校卒業おめでとう」
そう言って私の胸ポケットに
小さなマーガレットの花を挿してくれた
「咲妃はマーガレットの花言葉を知ってる?」
「花言葉? 知らないけど」
胸元に咲くマーガレットの花を
優しく触りながら答えると
「真実の愛」
「え?」
「マーガレットの花言葉よ」
そう言って私の頭を優しく撫でてくれた
「好きな人がいるなら
きちんと気持ちを伝えなさい。
恋愛は後悔してからじゃ遅いのよ?」
「何で好きな人がいるって分かったの?」
「母親の感よ」
「そっか…」
「咲妃。恋愛は1度きりよ。
今しか出来ない恋は、今伝えなさい
それに諦めるのはまだ早いわよ?」
「何で?」
「咲妃の気持ち次第で未来は変わる」
「私の?」
「そうよ? さ、もう時間よ」
「あ、うん」
「いってらっしゃい」
「いってきます」
何とも言えない気持ちのまま家を出た
私の気持ち次第で未来は変わる
もし、本当にそうなら
私はキミに告白するのかな?