天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅨ
「そんな事より…」

トリオ漫才の最中、一人の男性教諭が口を挟んだ。

今年の春、美術教師としてやってきたクロード。

昨年度卒業生の琉の保護者でもある。

「レヴィ先生、その背中の…」

「む?」

「ん?」

龍娘と翡翠がキョトンとする。

二人には、レヴィの背中には何も見えない。

しかし『視える』のだ。

元祓魔師(エクソシスト)たるクロードの瞳には。

レヴィの華奢な背中にしがみ付いている、某ホラー映画並みに殺気じみた少年の姿が。

くっきりと隈のある鋭くも禍々しい眼で、めっちゃクロードにメンチ切っている。

『やんのか?ん?お?あ?ちっと校舎裏来いや、いい夢見させてやんよ』とでも言いだけな目付きだ。

「ああ、気にしないで下さい」

レヴィはシレッとのたまう。

「これは…私の本体で、私は腹話術人形、みたいな?」

「そっちが本体かよっ!」

…天神学園職員室は、春うららである。

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