天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅨ
言うなれば『魔力を込めた咆哮』。

言葉そのものに霊力や魔力を込めた『言霊』というものが存在するが、十牙は『声そのもの』に魔力を込めていた。

その咆哮に込められた魔力が少年の呪詛を相殺し、霧散させ、一切の害をなくす。

誇り高き人外の名門、人狼だからこそできる芸当。

憎悪や殺意さえも無効化する遠吠えだった。

…その咆哮の前には、少年の呪詛はどれだけ放ち続けても無意味。

苛立ち紛れの呪詛さえも封じられ、少年は遂に押し黙る。

それを見計らって、十牙は人狼の変身を解き、ツカツカと歩み寄ると。

「!!」

少年の頬を平手で音高く張った!

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