特上男子
「大学の門が女子で溢れかえってる事あるでしょ?」

「うん」

「あれは智輝目当て」

「ぬっはぁぁぁぁっ!!私もその群れに加わりたかぁぁぁ!!」



そう叫びながらじたばたしていると、凛子から呆れた顔を向けられてしまった。



「そんな群れの中にいる女と付き合いたいと思う?私だったら絶対嫌」

「はっ……確かに」

「モデルの智輝じゃなくて、ただの智輝が好きなんでしょ?」

「勿論ッッ!!」

「それならそんなのに混ざって熱狂的なファンなんて勘違いされたくないでしょ?」



凛子の言う通りだ。


ファンと一緒だなんて思われたくない。



「でも……じゃあどうやって近付けばいいとぉ!?」

「そんなの私に分かるわけないじゃない」

「そんな冷たいこと言わんでもいいやんかぁ!!」

「それに彼女くらいいるでしょ、普通に考えて」

「凛子のばかぁぁぁ!!」



泣き叫びながらベッドにダイブした私を尻目に、凛子はすまし顔で雑誌を捲っていた。


一緒に考えてくれてもいいやんか……。


彼に近付いたはずが、かなり遠くになった気がする。






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