特上男子
双眼鏡から覗く先に見えるのは、女子女子女子女子の群れ。


どうやら今から彼が登場するようだ。


学校に来ている間で少しでも時間があれば私は屋上に来ている。


ここからだと大学の門が綺麗に見えるから。


でも、高校と大学は時間が違うからいつ彼の姿を拝めるか分からない。



「んグフッッ」

「まぁたストーカーしてんの?飽きないね」

「ぐ、ぐるじぃけんと、とりあえず足どけてッッ」

「あっごめんごめん」



何て感情のこもってないごめんだろうか……。


私は凛子に踏まれた腰をさすりながら体を起こした。


今度から寝そべって見るのは止めよう。



「てか私ストーカーやないし!!」

「毎日毎日双眼鏡覗いて智輝を探してるのに?てかストーカーしてる奴は自覚症状なんて持ってないでしょ」

「私は大丈夫っ!!まだストーカー予備軍やもんっ」

「そんな事偉そうに言うな」

「あはは……」



苦笑いを浮かべたまま私はまた双眼鏡を覗き、門の辺りを見回した。






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