特上男子
私の顔をハンカチでふきふきしてくれるライトの横で、遥は呆れた顔をしていた。


ハンカチめっちゃいい匂いがするんやけど。


男なのにちゃんと持ってるなんて偉すぎるよ。



『氷の女王様って何なんだよ。とりあえず分かるように説明しろ』

「実は……隣の大学に好きな人がおるんよ」

『……なんかもう大体分かってきたけど、まぁ最後まで聞いてやるよ』

「王子を屋上のベストポジションから双眼鏡で見よったら、いつもはおらんやった氷の女王様が隣におったんよぉ!!親しそうな上に、特上の特上で私とは比べものにならんくらい綺麗やったとぉぉぉ!!」



大袈裟にテーブルに顔を埋めると、ライトがよしよししてくれた。


さすがは我が校の王子。



『突っ込みどころ満載なんだけどよ、お前屋上鍵かかってんのにどうやって入ってんだよ』



私はポケットからキーケースを取りだし、鍵を1つ外してテーブルの上にのせた。



『お前これもしかして……』

「落ちてたのたまたま拾ったら屋上の鍵やった」

『嘘つけっ!!』

「エヘヘ……一々こっそり持ち出すのが面倒くさかったけんスペアキーちょっと借りとると」



借りとるって言っても勝手にやけど。











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