特上男子
相棒を片手に、私は懲りずに今日も屋上へ向かっている。



「今日も氷の女王様と一緒におるとかいなぁ?」



相棒は答えない。


当たり前だよね……双眼鏡やもん。


誰もいないことを確認し、屋上の扉を空けると青々とした空が広がっていた。


相棒から覗いた場所にはお馴染みの女子の群れ。


そして智輝の姿が現れた。



「今日も一緒……」



二人で話をしながら大学の中へと姿を消してしまった。


私も努力すれば綺麗になれるんやろうか。


さすがに女王様程綺麗になれるとは1ミリも思ってない。


やけど智輝は言ってくれた。


まだ綺麗になれるって……。


騙されたと思ってその言葉を信じてみようかと思う。



『立ち入り禁止の場所なのに鍵空けっぱなしは無用心だろ』

「は、遥!?何しよると!?てかビックリするやろッッ」

『悪ぃ悪ぃ、王子の顔見にきたんだけどよ、どこにいんだよ』

「残念ながらもう大学の中ぁ」



遥は私の横に腰を下ろすとそのまま仰向けに寝転がった。



『意外だな』

「何が?」

『紫』



むらさき……って下着の色やんかッッ!!






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