特上男子
力なく名前を呼ぶと、ライトは優しく笑ってくれた。


これぞ王子様スマイルっ。


顔だけやなくて性格まで王子様っちゃけん。



「ライトはどこの国からやって来たん?」

『国?日本で生まれてずっと日本にいるよ?』

「日本にも王子様は存在するんやね」

『僕が王子様なら志保はお姫様だね』



のふっっ……!!


このまま夢の中に身を預けたいぃぃぃぃ。



「いでッッ」



凛子に頭を小突かれ擦っていると、呆れ顔の凛子が目に写った。



「ライトを巻き込んで現実逃避するんじゃないの」

「ライトと話しよったらお伽の国におるような気分になるんやもぉん」

『お前その歳でお伽の国はねぇだろ』

「シンデレラになりたい……」

「じゃあ私が継母やってあげるわよ」

「いッいだッッいだいぃぃぃぃッッ!!」



凛子に耳を摘ままれ無理矢理立たされ、そのまま耳を引っ張られながら凛子の後ろを必死に歩いた。



「次移動なんだからちんたらしてないでちゃきちゃき歩きなさい、シンデレラ」

「もう夢見がちな事言わんけん許してぇーママァァァ!!」

「ママじゃなくてお母様でしょう?」

「どひッッ!!鬼やぁぁぁ!!」



更に力を込めて耳を摘ままれギャーギャー喚いている私を見て、遥とライトは大笑いしていた。


もぉうっ!!


笑っとらんで助けてよ!!







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