特上男子
どの授業を受けていても頭の中は智輝の事ばっかり。


時折氷の女王様の顔もちらついたりなんかして。



『じゃあ桂田、36ページの頭から読め』

「…………」

『かぁつぅらぁだぁぁぁ』

「…………」



女王様の美貌に一ミリも近付けるような気がしない。


私がどう足掻こうとよくて童顔が少し改善されるくらいだ。


女王様は何食べて育ったっちゃろう。


智輝は女王様の顔が好きなんかな?


だとしたらかなりの面食いだ。



「あだッッッッ!!!!!」

『俺をシカトするたぁいい度胸だ』

「今もしかして、もしかせんくても名簿の角で殴った!?信じられんっちゃけどぉぉぉ乙女の大切な頭を!!」

『乙女って顔か!!いいから36ページの頭から読め!!次がつかえてんだよ』



担任兼歴史担当のブッキーこと山吹先生はヤンキー上がりで凶暴だ。


ヤンキー上がりっていうのはただの噂やけど。



『声が小せぇ』

「これが乙女の最大音量やもぉん」



ブッキーの凶悪な視線を感じつつも、私は偉くもしっかり読み終えた。






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