特上男子
次の駅で女王様はおじさんを電車から引っ張り出し、駅員のおじさんに事情を話して引き渡してくれた。


私も自分の事だし女王様ばかりに任せる訳にはいかないと思い、その時の状況を必死に伝えた。


その間女王様はずっと付き添ってくれていて、それがとても心強かった。


見ず知らずの女子高生の為にこんなに良くしてくれるなんて……全然氷の女王様なんかやないやない。


人を見掛けで判断して、勝手に氷の女王様だなんて呼んでいた事を深く反省した。



「本当にありがとうございました」



やっと事情聴取から解放された私は彼女に頭を下げお礼を言った。



「大丈夫?」

「はいっ!!もう大丈夫ですっ!!」



私の言葉に彼女は微笑み手を握ってきた。


双眼鏡から見ていた彼女よりもこうして近くでみる方が何百倍も綺麗で、笑うとその美しさは更に増して、私は目を逸らせなかった。



「嘘ばっかり」

「え?」

「手、震えてるし涙目になってるよ」



そう言われて手元に目を向けると、彼女に握られた私の手は微かに震えていた。


怖、かった……。


男の人に体を触られるとか初めてで、凄く気持ちが悪かった。






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