特上男子
私は思わず泣いてしまい、慌てて涙を拭った。


そのせいでブラウスの袖は黒く汚れてしまった。


汚れただけならまだしも毛が……付けまつ毛までへばりついてしまった。


最悪や……。



「ぐちゃぐちゃになっちゃったね」

「後2駅で家の近くの駅なんで大丈夫です」



智輝の彼女……と思われる女性が目の前にいて、それも特上の美人で、私は恥ずかしさと惨めな気持ちからか顔が上げられなかった。


そんな私の手を取り彼女はスタスタと歩き始めた。


えっ!?


何!?


何処に向かっとるんですかぁ!?


ぐっちゃぐちゃな顔を上げる事ができず、ずっと床を見ている為今どの辺りにいるのかも分からない。






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