特上男子
「あの……こんな事までしてもらっちゃってすみません」

「気にしないで、好きでしてるだけだから。迷惑だったかな?」

「いえッッそんな事ないですッッ!!ありがとうございます」



彼女の化粧ポーチから出てくる化粧品からはどれもいい匂いがする。


勿論彼女自身からも。


気付けばクンクン犬のように匂いを嗅いでいる私って……遥の言う通り変態かも。



「はい、できた」

「あ、ありがとうございますっ」



お礼を言って鏡を見ると、そこには今まで見たことがない自分が写っていた。


どへッッ!?


どちら様!?



「家に着くまでの間はこれで我慢してくれる?」

「我慢なんてそんなッッ別人みたいで驚きました……」

「元がいいから無理して濃いメイクする必要ないよ」



ズキュゥゥゥーンッ!!


こんなに優しい言葉を掛けてくれるのはライトだけだと思ってたぁぁぁ。


まさか見目麗しの女王様に言って貰えるなんて……信じられない。


鼻の先が付きそうな距離で鏡を見ていたら女王様に笑われてしまった。


笑った顔も愛らしかですー。


女の私がキュンキュンしちゃうくらい素敵な人なんやから、男の智輝からしてみれば心臓止まる勢いやろッッ。







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