年上の彼氏。
†出逢う前†

「悠姫!」


爽やかな笑顔であたし、天宮 悠姫(あまみや ゆうき)の名前を呼ぶのは…


「蒼大…」


あたしの彼氏の石川 蒼大(いしかわ そうた)。


蒼大は幼少時代から中学まで一緒で、今年から高校が別々になった。

高校に入学して1ヶ月経ったある日、


【付き合って欲しい】


とメールが届いた。
あたしは少し戸惑いつつもイエス、と返事をした。


蒼大は顔立ちがよく、いつも女子に騒がれる存在だった。

勉強も運動も要領よくこなし、友達からも信頼を得ていた。

だけど、恋愛には興味が無さそうで、性格も大人しかったからまさか、告白をされるとは思ってもいなかった…


それから、時は過ぎ付き合って1年が過ぎようとしていた。今日は久しぶりのデートの日。待ち合わせ場所に行くと近くで名前を呼ぶ声がした。


「久しぶりだな」


「うん、お互い忙しかったからね」


最近は、お互い予定がなかなか合わなくて会えずにいた。しかも、会えない原因はほとんどあたしだった…

「ねぇ、まだお前ん家行けねーの?」


「うん…ごめん」


あたし達が会うときは必ず外でだった。

家に呼べないある理由があたしにはあったから…


「別に、いいけどさぁー。お前は俺とそんなに居たくねーの?」


はじまった…
最近この話ばっかり。

蒼大はあたしの家に来たがる。家に来てヤりたいらしい…

でも、あたしはまだそんなことはしたいと思わないし、あんなに女子に興味が無かった蒼大がそういう事を思ってるのに少し抵抗があったから…


「居たくないってわけじゃないよ。ただ、まだ来て欲しくないの…」


「なんだよ…それ、俺はいつまでお前を待ち続ければいいんだよ」


蒼大が怒ってるのが手にとるようにわかる。喧嘩をしたくないのに、なぜかいつもそんな方向に向かっていく…
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