年上の彼氏。

「それで、本題なんですけど…」


先生はまた椅子に座り、あたしに話を切り出した。

あたしは息をのみ、先生を見た。


「なんですか?」


「天宮寺さんはこのままでいいと思っているんですか?」


その質問の意味があたしにはすぐに理解できた。

多分、蒼大のことなんだろう…


「あたしは…蒼大に会うのも関わるのも恐いんです。だから、このままでいいと思ってます」


まだ温かい紅茶が入っているマグカップを握りしめる。

あたしの中にはまだ恐怖心がたくさん残っていて、それをとうぶんは消せないと思う…


「でも、その彼氏はもっと天宮寺さんのことを怖がらせるかもしれないんですよ?」


心配そうな目であたしに聞く先生。

なんで、この人はこうもあたしのことを心配してくれるんだろう…


「あたしにはどうすることも出来ないし、我慢していくことしか出来ないんです!」


あたしは涙目になりながらも必死に先生に言う。

すると、宮下先生が座ってるあたしの前に歩みより、しゃがんだ。

そして、あたしの手を取り言った。


「天宮寺さん。もう、1人で全部抱え込まなくてもいいんですよ。俺がいます」

優しくも力強いその言葉は我慢していたあたしの涙を一瞬にして解き放した。


「俺は会ったばかりだし、頼りないけど天宮寺さんの力になりたいんです」


続けて先生は言う。

会ったばかりなんて関係ない…

頼りないなんてことはない…

先生があたしのそばにいるだけでいい…

あたしは純粋にそう思った。



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