年上の彼氏。
†距離感†
1
皿洗いが終わった後、あたしは何をすればいいのか戸惑ってしまった。
この場合あたしはどこにいればいいんだろ…
時刻はまだ夜の7時半。
先生は何やらリビングのソファに座りテーブルの上に仕事の書類やらノートパソコンをを開いたりしていた。
あたしはどうすることも出来ずただ立っているだけ。
すると、そんなあたしに気づいた先生が後ろを振り返り、立ちすくんでいるあたしの方に目を向けた。
「どうしたんですか?」
先生はあたしが立っていることに違和感を感じたらしく、キョトンとした表情で問いかけた。
あたしはビクッと肩をあげた。
「あ、えと…」
あたしは声をどもらせて、下を向いた。
そんなあたしを見て、先生は何かを悟ったのか、
「隣に座ってください」
笑顔で優しく言った先生。ポンポンと空いてる隣を手で優しくたたいている。
あたしはトテトテと歩みより、ちょこんと先生の隣に腰を降ろした。
「ふふっ…」
あたしが座る様子を見て、隣の先生が笑った。
「え!どうかしましたか?」
あたしは自分が何か可笑しいことをしてしまったのかと思った。
「なんか、天宮寺さんって学校では弱いとこ見せないしっかりさん者なのに、今は子猫のように可愛い普通の女の子なんですね」
「…っ!」
笑っている先生とは裏腹にあたしは声に出せないほど恥ずかしい想いでいっぱいだった。
確かにそうかもしれない。あたしがここまで人に心を開くのは珍しいことだった。
だから、先生の前では弱いところを隠しきれていないんだと思う。
むしろ、隠してもバレてしまう。