年上の彼氏。
2
「それは、先生の前だからですよ…」
あたしはポツリと声を漏らした。
あ…!あたし今先生って言っちゃった!
まずいとあたしは慌てて口を手で押さえた。
すると、あたしの手を口から離して先生の方を向かされた。
「家の中では、無理して名前で呼ばなくていいですよ?」
先生はあたしの手を掴んだままこっちを向いて話す。
あたしは顔を見合わせてることが恥ずかしくて顔を紅く染めた。
「せ、先生はズルイです…」
あたしは恥ずかしさから涙目になってしまい、先生を上目遣いで見るように言った。
すると、先生は動揺したように声をあげる。
「え゛っ…!な、なんでですか!?」
「そうやって、いつも私の心を乱すんですから」
あたしはちょっと拗ねたような言い方で言う。
だけど、先生は
「ふはっ…!」
何故か吹き出すように笑った。
くくく…と笑いを堪えてる先生を見てあたしは驚く。
「な、なんで笑うんですか!?」
あたしはまた恥ずかしくなった。
胸はドキドキしている。
「いや、天宮寺さんでも拗ねることってあるんだなぁって思って」
まだ笑いを堪えてる先生は口元に手をあてながらこちらを見る。
「そりゃあ…。私も普通の人間ですから…」
あたしは少し引き下がりつつも、まだ胸の高鳴りは治まらなかった。
先生はひとつ深呼吸をしてこちらを向きなおした。
「なんか、今日1日で天宮寺さんのことにすごく興味がわきました。」
「興味?」
「はい。それに、もっと仲良くなれればなぁって思いました」
先生の口からは驚くような言葉が次から次へと出てきた。
あたしは戸惑いつつもその言葉に喜びが感じられた。
「私も先生のこと知りたいです!」
笑顔でそう言うと、先生は
「ここでは、気を遣わなくていいし、何かあったら何でも俺に言ってください」
優しくも真剣な面持ちで言う先生が頼もしかった。
「はいっ!」