年上の彼氏。



「それは、先生の前だからですよ…」


あたしはポツリと声を漏らした。

あ…!あたし今先生って言っちゃった!

まずいとあたしは慌てて口を手で押さえた。

すると、あたしの手を口から離して先生の方を向かされた。


「家の中では、無理して名前で呼ばなくていいですよ?」


先生はあたしの手を掴んだままこっちを向いて話す。
あたしは顔を見合わせてることが恥ずかしくて顔を紅く染めた。


「せ、先生はズルイです…」


あたしは恥ずかしさから涙目になってしまい、先生を上目遣いで見るように言った。

すると、先生は動揺したように声をあげる。


「え゛っ…!な、なんでですか!?」


「そうやって、いつも私の心を乱すんですから」


あたしはちょっと拗ねたような言い方で言う。

だけど、先生は


「ふはっ…!」


何故か吹き出すように笑った。

くくく…と笑いを堪えてる先生を見てあたしは驚く。

「な、なんで笑うんですか!?」


あたしはまた恥ずかしくなった。

胸はドキドキしている。


「いや、天宮寺さんでも拗ねることってあるんだなぁって思って」


まだ笑いを堪えてる先生は口元に手をあてながらこちらを見る。


「そりゃあ…。私も普通の人間ですから…」


あたしは少し引き下がりつつも、まだ胸の高鳴りは治まらなかった。

先生はひとつ深呼吸をしてこちらを向きなおした。


「なんか、今日1日で天宮寺さんのことにすごく興味がわきました。」


「興味?」


「はい。それに、もっと仲良くなれればなぁって思いました」


先生の口からは驚くような言葉が次から次へと出てきた。

あたしは戸惑いつつもその言葉に喜びが感じられた。

「私も先生のこと知りたいです!」


笑顔でそう言うと、先生は

「ここでは、気を遣わなくていいし、何かあったら何でも俺に言ってください」

優しくも真剣な面持ちで言う先生が頼もしかった。


「はいっ!」

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