年上の彼氏。

―柚留―


どうしたもんか…

時刻はすでに夜の10時。

未だに天宮寺さんは眠ったまま。

このままソファっていうのはマズイ。

そう思った俺は天宮寺さんを起こすことにした。


「天宮寺さん」


肩を揺すりながら耳元で名前を呼ぶ。

すると、天宮寺さんがゆっくりと目を開いた。

まだ、ウトウトしている。
かわいい……って!何考えてんだ、俺!!


「…ん…。あれ?」


まだ半分寝ぼけてる天宮寺さん。


「こんな所で寝てたら体壊しますよ?」


俺は平静を保ちながら微笑んだ。

すると、天宮寺さんはムクッ!と突然起きた。


「えっ!私寝てましたか!?」


慌てながら俺に必死に尋ねる天宮寺さんを見て、俺は立ち上がり天宮寺さんの手を引いた。


「今日は色々あって疲れたんだと思いますよ?なので、ちゃんとベッドで寝てください」


手を引いたまま、寝室に向かう。

俺は、天宮寺さんに自分のベッドを使ってもらおうと考えた。


「じゃあ、天宮寺さんはここを使ってください」


そう言って、天宮寺さんの手を離し部屋に入れる。


「あの、先生はどこで寝るんですか?」


不思議そうに首をかしげて、俺をのぞきこむ天宮寺さん。


「俺はリビングのソファとかで寝るんで」


そう言った俺に天宮寺さんは焦ったように口を開いた。


「そ、そんなのダメです!私がソファで寝ますから!」


「いや、女の子をソファで寝かせるなんて出来ないよ」


俺が笑顔で言っても、天宮寺さんは納得していないようだった。

ん―、どうするかな…

俺はどう言ったらいいか悩んだ。

そして、悩んだ挙げ句、とんでもないことを口にした。


「あ。じゃあ一緒に寝ます?」


冗談で言ったつもりが、天宮寺さんは


「それでもいいですよ。先生がソファで寝ないならそっちの方がいいかもしれないです」


俺は予想もしなかった反応に目を丸くした。

え、この子は言ってる意味がわかってるのかな?

危険すぎるでしょ!?

特に俺が!!

驚きのあまり、言葉を返せなかった俺を不思議におもったのか、天宮寺さんがまたも首をかしげた。

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