年上の彼氏。
†近い存在†
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「はぁ〜〜…」
「どうしたんですか?」
卒業式が終わり、先生の車で家に向かう途中、助手席に乗っていたあたしは思わずため息をついてしまっていた。
そんなあたしに疑問を抱いた先生が運転をしながらあたしを心配した。
「あ、いえ!なんでもないです!!」
あたしは焦りつつも先生に気を遣わせないようにその場を誤魔化した。
だけど、先生はまだ不信感を抱いているようだった。
あ゙〜!!
これも何もかもアイツのせいだっ…!
湊が言った言葉があたしの溜め息の原因だったりした。
いつも、そう。
振り回されてばっかり…。
「そういえば」
あたしがモヤモヤとした考えを巡らせていると、先生が突然言葉を溢した。
「は、はいっ!!」
悶々と考えを巡らせていた途中、先生の発せられた言葉によって遮られた。
横を向くと、先生は前を真っ直ぐ見たまま話続けた。
「送辞、とても素晴らしかったね」
「え…」
あたし、今褒められてるの…?
突然の誉め言葉にポカンと口を開けてしまった。
しかし、それもつかの間。すぐに我に返って言葉の意味を理解した。
「あ、ありがとうございます!」
あたしは顔を伏せつつ、先生にお礼を言った。
なんだか、無性に恥ずかしくなって顔を直視できなかったんだ……。