苺 大 福
私の生きている意味
【美鶴】
「待って..!置いていかないで!!お願いぃ...!!」
ジリリリリリリリリリリリリッ
ガゴンッ 目覚まし時計を思いっきり叩き、美鶴は目覚めた。
なんて最悪な目覚め...。悪夢を見た..。
「チッ。今さらあんな奴のこと思い出すなんてな。」
ボサボサの長い髪をとかし、癖の舌打ちをしながら
芳沢美鶴(よしざわみつる)高校2年生はそう呟いた。
あぁ...。学校なんてつまらない所に行かなきゃなんねーなんて、
考えただけで憂鬱になる。
そんなことを思いながら、美鶴は支度を始める。
髪をみつ編みに結い、黒縁のメガネをかけ、形見のヘアピンを
耳の後ろの見えない所につけた。
するとほ~ら見て、みんなの理想の「学級委員長」の完成。
俺は性格も口もワリーが、外じゃ違う。
良い子ぶって、進んでボランティアまでし、しまいにゃ学校で
生徒会と学級委員長をやっている。
はっ。おっかしーの。自分でもバカらしくなってくる。
俺が生きてる意味って、何なんだろう。
したいこともしねーで俺、何やってんだ...。
登校の時にも、勿論挨拶は忘れない。
近所のやつらに、「作った満面の笑顔」で挨拶をする。
「お早う御座います!良いお天気ですね。」
するとみぃーんな、口をそろえて、こう言うの。
「お早う。美鶴ちゃんは、本当に良い子ねぇ。」
...俺が良い子だって..?
はっ。そんなあり得ない事を言って下さってどうもありがとう。
みんなみんな騙されてくれて、ありがとう。
本当、バッカみてぇ。
自分も、バカみてぇ...。