契約の婚約者
一昨日の夜、片桐がわけのわからないことを言っていたが、私たちは契約したのだ。


一年前のお見合いの席で。


その契約とは----



--親元から完全に独立できるようになるまで婚約者の振りをする


--婚約をしてもお互いのプライベートには一切関わらない


--他に結婚したい相手ができたときは、婚約は無効になる



当時、沙希も片桐も、親が持ってくる見合い話に辟易していた。


親に騙されるように連れて行かれた見合いの席で、その見合い相手が上司の片桐だったことには驚きが隠せながったが、沙希は直感的にこの状況を利用できると思った。


片桐に自分と同じ匂いを感じたのだ。


そして-----


うまく共同戦線を引いたつもりだったが……




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