契約の婚約者
「あら、沙希ちゃん聞いてないの?今年中には仕事の方も落ち着きそうだし、沙希ちゃんとのことを一番に考えていきたいって。もう、ママ電話越しだったけど、感動しちゃったわ。あんなに沙希ちゃんのことを想ってくれる人いなわよ?」


あのオヤジは一体全体何を言ったんだ?


そして、どういうつもりなんだ?


沙希の頭の中は疑問府だらけだ。


「二人は相思相愛なんだから、いいじゃない?」


誰がっ!!と口に出しそうになり押し留まった。


「ママ、知ってるのよ?片桐さん、頻繁にここのお部屋に泊まっているそうじゃない?さっき子供の話はしたけど、デキちゃった結婚だけはやめてね?」


コンシェルジェに聞いて全て知ってるのよ、と十和子は不適な微笑みを返す。



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