契約の婚約者
顎に指をかけられ、上を向かされたかと思ったら、唇がヒヤリと感じた。次の瞬間、冷たい水が口腔に流しこまれ、喉を潤してくれる。
「ん、もっと……」
まだ足りない。唇を離さないで欲しい。
息が唇に触れ、フッと笑ったように思えた。そして、また唇を塞がれ、冷たい水が押し込まれる。今度は舌を絡められ、中々喉へと流させてくれない。
急に水が器官に入り、沙希は咽せるように喉をビクンビクンと鳴らす。
「んん、ごほっ……ごほっ……」
「悪かった、あまりにも可愛いすぎるから……」
不愉快な言葉が耳孔を掠める。重たい瞼を開けると、沙希の視界に入ってきたのは、いつもと変わらない片桐の端正な面立ちだった。
頭はぼんやりとしていたが、自分の現状には気づく。
沙希は片桐に背後から抱きかかえられ、バスタブに浸かっていた。あの浮遊感は湯船の上に浮いているからで、拘束されていると思ったのは、逞しい片桐の腕が、沙希の腹と胸をしっかり抱きとめていたからだ。
「ん、もっと……」
まだ足りない。唇を離さないで欲しい。
息が唇に触れ、フッと笑ったように思えた。そして、また唇を塞がれ、冷たい水が押し込まれる。今度は舌を絡められ、中々喉へと流させてくれない。
急に水が器官に入り、沙希は咽せるように喉をビクンビクンと鳴らす。
「んん、ごほっ……ごほっ……」
「悪かった、あまりにも可愛いすぎるから……」
不愉快な言葉が耳孔を掠める。重たい瞼を開けると、沙希の視界に入ってきたのは、いつもと変わらない片桐の端正な面立ちだった。
頭はぼんやりとしていたが、自分の現状には気づく。
沙希は片桐に背後から抱きかかえられ、バスタブに浸かっていた。あの浮遊感は湯船の上に浮いているからで、拘束されていると思ったのは、逞しい片桐の腕が、沙希の腹と胸をしっかり抱きとめていたからだ。