契約の婚約者
「何が卑怯だ?」


「ヤッてる最中に聞くなんて……」


「イヤだったら、頷く必要なんてなかっただろ?」


片桐の腕にぎゅっと力が入る。その腕がもう離さないと言っているようだ。


背中越しに片桐の心臓の音がトクントクンと聞こえ、その音を聞いていると、話している内容がどうでも良くなってくる。


結婚したら、ずっとこの腕は自分のものになるのだろうか、とふとそんなことを思った。



何の独占欲?



支配欲じゃなくて……?



やっぱり今の自分は変だ……



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