契約の婚約者

「本能……って、意味がわかんない」


「わからないか?」


「わかんない……」


沙希が唇を尖らせると、片桐は呆れた様子で肩を竦める。


そして、断定するように宣言する。





「----お前は俺が好きなんだよ」





腰に響くように甘く艶めいた声で囁かれる。



「本能が俺を欲しいと言っているんだろう?」


「…………」






自分が片桐を-----?



そう考えた瞬間、心臓がどくどくと鼓動する。






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